“茶碗という彫刻” と空間(場)との関係 大平和正
茶碗を彫刻として捉えている自分としての提示方法として、茶碗を場との関係で存在させる空間(インスタレーション)展を開催いたします。
江戸時代の下級武士の家だったのだろう。武家屋敷としては、質素な佇まいだ。だがまだ茅葺のこの家は、往時の気配と空気感をいまだに留めている。
この空間では、茶碗を展示台の上に鎮座させたくなかった。
武家屋敷「入交家(いりまじりけ)」の居住空間に茶碗をそっと置いてみる。
茶碗と空間とが呼応して、その空気感の中でしっかりと座して意心地よさそうにおさまった。茶室を離れた茶碗と空間との関係に立ち会ったことで、茶碗がどんな場所に持ち込んでも、その空間をしっかりと受け止めて存在するオブジェ(彫刻)であることを、あらためて確信した。
なかなか実現できない試みです。この機会にご覧いただければ幸いです。
私にとっての “茶の湯” は、彫刻家として目指している<大地=土、からカタチを立ち上げる>という「風還元」の理念のもと、造形と場、時間、命等、その関係性の一体から立ち現れる彫刻体として、独自の「環境造化(気の生まれる時空間)」を創出する。そして茶碗は、それを構成する核であり、茶を飲む器としての概念を有しながらも、それを突き抜けたオブジェ(彫刻)として、圧倒的に存在するものと捉えています。
“一碗でいい” 茶碗のカタチの向こうにひろがる無限を内包する、そんな茶碗との出会いを夢見ている。
日 時 2023 6.3|土|-6.18|日|
時 間 9:00-16:30
休館日 火曜日
会 場 入交家住宅 三重県伊賀市上野相生町 2828
観覧料 無料
主催・お問合せ:(公財)伊賀市文化都市協会 ☎0595-22-0511
後援:伊賀市・伊賀市教育委員会・名張市教育委員会
◆この事業は、伊賀市文化振興条例、伊賀市文化振興ビジョンに基づき実施します。